位相空間論 #1 - 開集合と閉集合

位相空間論(general topology)について自分が理解してる範囲でまとめます.誤りを見つけた際は,コメントかDMで教えて頂けると嬉しいです.
今回は開集合と閉集合の公理について書きます.

位相空間

数学における位相空間論(いそうくうかんろん、英: general topology; 一般位相幾何学)または点集合トポロジー(てんしゅうごうトポロジー、point-set topology; 点集合論的位相幾何)は、位相空間の性質やその上に定義される構造を研究対象とする位相幾何学の一分野である。 - Wikipedia

位相空間は,集合に対して「位相(トポロジー)」という構造を導入したものです.
位相とは便利なもので,これにより,点の近傍や点列の収束,写像の連続性,今回書く開集合や閉集合の概念を定義することができます.

定義

開集合を定義する前に,まず内点というものを定義します.
ここでは外点や境界点に関しての説明は行いません.

内点

点集合 \boldsymbol{S}に属する一つの点pに十分近い点がすべて \boldsymbol{S}に属するとき,pを \boldsymbol{S}内点という.

一言で言うと,点 pにとても近い点はSに属するというものです.
数式で述べると次のようになります.

部分集合 {\boldsymbol{S} \subset \mathbb{R}^m}と点 {p \in \boldsymbol{S}}を考える.  {\exists \epsilon \in \mathbb{R} \gt 0 \ \left\{ x \in \mathbb{R}^m | d(x, p) \lt \epsilon \right\} \subseteq \boldsymbol{S}} ならば p \boldsymbol{S}の内点である.( d \mathbb{R}^mの距離関数)

例えば {a \lt b \lt c}となるような実数{ a,b,c \in \mathbb{R}}に対して,閉区間 { \left[ a, c \right] }を考えると, bは内点になります.これは,開区間 { (a, c) }を考えると, { b \in (a, c) \subset  \left[ a, c \right] }となるためです.

開集合

集合 \boldsymbol{S}の各点が内点であるとき, \boldsymbol{S}開集合という.

開集合は境界を含みません.
開集合の例として次のようなものがあります.

閉集合

閉集合は開集合の補集合である.

ここで,注意しなければならないことは,開集合でも閉集合でもない集合があるということです.
詳細は省きますが,例えば半開区間は開集合にも閉集合にも属しません.

閉集合は境界を含みます.
閉集合の例として次のようなものがあります.

開集合の公理

  1. 空集合 \phiと全体集合 \mathbb{R}は開集合である
  2. 開集合に属する集合の任意の和集合は開集合である
  3. 開集合に属する集合の有限個の共通部分集合は開集合である*1

閉集合の公理*2

  1. 空集合 \phiと全体集合 \mathbb{R}閉集合である
  2. 閉集合に属する集合の有限個の和集合は閉集合である
  3. 閉集合に属する集合の任意個の共通部分集合は閉集合である

さいごに

今回は,開集合と閉集合について書きました.
英語ではそれぞれ,open setとclosed setといいます.そのままですね.

次に書く記事の内容はまだ決めていません.(というか元々位相のお話する予定なかったので全然まとめてませんでした)

とかとか分かりづらい...

参考書籍

定本 解析概論

定本 解析概論

*1:有限個ではない場合,共通部分集合が開集合に属すとは限りません.例えば,次の共通部分集合 {\bigcap_{x=1}^{\infty}{(-\frac{1}{x}, \frac{1}{x})}}を考えると,0のみを含む一元集合となってしまいますが,一元集合は開集合ではありません.

*2:閉集合は開集合の補集合であるため,ド・モルガンの法則によって開集合の公理から導出できます.